■万里センセイの海馬【毎週木曜更新】
「
30分で解る『三国志』 (全4回)」
-その2(2/2):「昨日の友は今日の敵
」-
実は、これも黄蓋が仕組んだ芝居だったのです。
自分の肉体を傷めて謀をめぐらすことを「苦肉の計」あるいは「苦肉の策」と言うのはこの故事に由来します。
ここまで手の込んだ芝居をやられては曹操も、黄蓋の投降を信じないわけにはいきませんでした。
作戦開始の当日、11月20日の深更、折から風が東風に変わった頃合を見て、投降と見せかけ、黄蓋が枯れ草や焚き木を満載した船を曹操の船団に突入させます。
枯れ草や焚き木を満載しているので船の喫水が浅いことに気が付いて、「これは変だ」と曹操軍が思ったときには、万事休す。
曹操軍の船団は紅蓮の炎に包まれ、曹操はほうほうの態で、『赤壁』を離脱します。
映画では戦いが終わって、周瑜と諸葛孔明が、お互いの健闘を讃え合って、「真の友を得た」と感じあうシーンがありますが、史実では、周瑜は諸葛孔明の明晰な頭脳に触れ「孔明恐るべし」と考え、戦いの最中に刺客を孔明に送るのです。
危険を察知した孔明は、早々と戦場を後にして、劉備の軍勢と合流することによって、刺客を逃れます。
戦乱の世は「昨日の友は今日の敵」で、映画の場面のようなセンチメンタリズムは存在しません。
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