■万里センセイの海馬【毎週木曜更新】

「ワタシと競馬と、しばしば、オトン(全4回)」
-その2(1/2):灰色のブレザーを着た中学生-

私に競馬という娯楽がこの世に在ることを教えてくれた父は鹿児島県生まれで、競馬と並んでこよなく酒を愛する人物でした。週末に酒量が過ぎると、二日酔いで大好きな競馬場に足を運べません。当時の住まいは杉並区の高円寺でしたから、場外馬券売り場で一番近いところは新宿にありました。私がまだ中学生の頃の話ですが、当時の新宿の場外馬券売り場は、現在の場所ではなく、新宿駅西口、ちょうど今の新宿郵便局の辺りにあったと記憶しています。

父が高円寺から新宿まで地下鉄に乗って自分で場外売り場に馬券を買いに行く日は、まだ良いほうで、二日酔いが極まると、新宿まで足を運ぶことが億劫になっていたようです。そんな時は、私に命令が下りました。二日酔いで臥せっている父の枕元に呼ばれて「万里、悪いけれどもこれで馬券を買ってきてくれ」とメモと現金を渡されるのです。
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