■万里センセイの海馬【毎週木曜更新】

「馬の故事・熟語_本当の意味をご存知ですか?(全4回)」
-その3(1/2):人間万事塞翁が馬-

もう20年以上前のことになりますが、当時参議院議員だった青島幸男氏が「人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)」というタイトルの小説を書いて直木賞を受賞したことがあります。

意地悪ばあさんのモデルになった青島氏の母親の生涯を軽妙なタッチで描いた小説でしたが、この本のタイトルの元になったのは「人間万事塞翁が馬」という故事です。

この文字の正確な読みを聞くと、10人中9人までは「ニンゲンバンジサイオウガウマ」と答えるはずですが、正確には「ジンカンバンジサイオウガウマ」と読みます。

この故事は、古代中国漢の時代の「淮南子(えなんじ)」という書物に記載されています。現代の中国語もそうですが、昔から漢語では「人間」という字の意味は「人の世」、「世間」で、日本語のような「人間(ヒューマンビーイング)」という意味はありません。

そこで日本語の「人間(にんげん)」と区別をするためにわざわざ「ジンカン」という読み方をするのです。これは漢詩の世界のいわば約束です。
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