■万里センセイの海馬【毎週木曜更新】

「ワタシと競馬と、しばしば、オトン(全4回)」
-その3(1/2):九州男児の父からのミッション-

当時から、比較的背は高かった私ですが、ブレザーを着たからと中学生が大人に見えるはずはありません。それでも鹿児島出身の父の命令は我が家では絶対服従でしたから、それからは、このブレザーを着て新宿の馬券売り場に通うことにしました。そんな私が家を出る際に不安そうな顔をしていたからでしょうか、父は自分の名刺に「この者は小生の息子です。小生の依頼で馬券を買いに来ています」と書いて、「もし警察に捕まったら、これを見せろ。これがあればお前に罪はないことが分かる」と言うのでした。

父の名刺を胸のポケットに入れ、ブレザーを着て、新宿の場外馬券売り場に行ったその日は、誰からもとがめられることは無く、無事に任務を達成して家に帰りつきました。このブレザーを着ての場外馬券売り場への往復は、その後5回ぐらい繰り返した覚えがあります。
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