■万里センセイの海馬【毎週木曜更新】
「ワタシと競馬と、しばしば、オトン(全4回)」
-その4(1/2):場外の帰りに出会った運命の出来事-
私が父の影響で競馬に興味を持った昭和35年は、いわゆる「60年安保」の年でした。手元の『東京競馬場60年史』(平成6年発行)によれば、この年1月に全国競馬労働組合が24時間の全面ストを決行したとの記載があります。私は、まだ小学生ですから、政治には興味を持っていませんでしたが、ある日、父と一緒に新宿の場外馬券売り場に馬券を買いに行った帰り、ちょうど現在の新宿駅西口で、当時の社会党委員長、浅沼稲次郎氏が街頭演説をしている場面に出くわしました。
政治記者であった父は、浅沼稲次郎氏と顔見知りだったのでしょう。演説が終わった後、浅沼氏が「海江田さんの坊ちゃんですか」と言って大きな手で私の頭をなでてくれた記憶があります。数週間後、その浅沼氏が右翼の青年によって刺殺された事件に、私は大きなショックを受けて、それがきっかけで私は政治に興味を持つことになったのです。父があの日新宿に馬券を買いに行かなければ、現在の私は違う道に進んでいたかもしれません。
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