■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2010/05/20号(改正版)」
「―Financial Adviser 6月号 海江田万里の経済熱線―」
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☆持続的な発展のために解決すべき事項も山積☆
こうした動きを前に、中国政府は2010年も「積極的な財政政策」
と「適度に緩和された金融政策」の方針で進むことを先の全国人民
代表大会で決議しています。世界経済はまだリーマンショックから
完全に立ち直ってはいないとの判断で、引き続き政府主導の投資を
行っていくことを明らかにしています。
金融政策でも引き締めを実
施して「出口」を考えるのは時期尚早との立場を公にしています。
先日発表になった2010年の第1四半期のGDPは前年同期比
11・9%の増加となっています。
しかし、中国経済の持続的な発展には、公共投資中心の政府主導か
ら、民間消費拡大などによる民需主導へ成長戦略を転換する必要が
あります。同時に、現在の中国では沿海部VS内陸部、都市部VS
農村部の経済格差が大きくなっています。
また相変わらず零細経営
でインフラ未整備の農業の立ち遅れや農村の社会保障制度の欠如な
ど、人口の8割を占める農村部の問題を解決しなければ中国全体の
発展はないことは明らかです。
環境破壊の対策も待ったなしです。私が北京にいた3日間はスモッ
グがひどく、青空はほとんど望めませんでした。
現在、北京市では
出勤時間に時差を設けたり、クルマのナンバープレートによる進入
制限を行っていますが、それでも出勤、退勤時の自動車ラッシュは
ものすごく、排気ガスによる大気汚染も深刻です。
もうひとつ早急に解決しなければならない問題が、公務員の汚職や
幹部の腐敗です。
2008年に汚職事件で裁判にかけられ被告人と
なった公務員の数は約3万4000人で、民衆の不満は、地方での
集団抗議事件となり、その件数の把握は困難ですが、放置しておく
と、いつ大きな暴動になるか分かりません。
★ リーマンショック以降は「日本に学ぼう」という姿勢 ★
こうした不安定要素をはらんだ経済発展ですが、大きな市場を国内
に持つ中国の潜在的な成長力は日本経済の成長にとっても無視でき
ません。
リーマンショック以前の中国はアメリカに学ぼうとの姿勢が濃厚で
したが、リーマンショック以降は、アメリカ型の市場万能経済では
だめだという声が広がり、再び、日本に対する注目が高まっていま
す。
特に、環境・省エネ技術や、アメリカ型とは異なる日本の金融
システム、全国民に行きわたっている社会保障制度などについて、
「日本に学ぼう」との姿勢が明らかになっています。これらの分野
での協力関係を通じて両国の経済発展を図ることが大切です。少子
高齢化で活力をなくしているわが国にとって、成長力を秘めた中国
の発展は不可欠なものになっています。
衆議院議員 海江田万里
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