また同レポートを取りまとめるに当たっての、日本銀行の政策委員の2010年度、2011年度の実質GDPの見通しは、2010年度がプラス2・6%なのに対して2011年度はプラス1・9%としています。しかも、同じレポートの今年4月の時点の予想では2011年度の成長率はプラス2・0%となっていましたから、7月にはそれを0・1%下方修正したことになります。つまりわが国の景気の先行きについて、今年の後半から、いわゆる『踊り場』に入るのではとの見方が急速に拡がっているのが現状です。
その理由はいくつか考えられます。ひとつは最近、中国の成長が、徐々に減速し始めたことです。現在の日本の輸出は中国を始めとしたアジアの新興国の成長に引っ張られている部分が大きいですから、中国経済の減速は日本の輸出に直接影響を与えます。アメリカもこれまでは景気刺激策で何とか成長を維持してきましたが、財政の下支えが難しくなり、景気回復にブレーキがかかっています。