■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2010/07/21号」
「―Financial Adviser 8月号 海江田万里の経済熱線―」

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 もちろん、老後の資金に困っているお年寄りがたくさん居る事実はあります。裕福なお年寄りはほんの一握りだとの指摘は正しいでしょう。しかし、総務省の家計調査によっても65歳以上の高齢者が世帯主の世帯で4000万円以上の貯蓄があるケースは20%、3000万円以上となるとおよそ30%を占めています。将来不安があって、この程度の貯蓄は必要だと考えても、それらの人の多くは結局、その貯蓄をあまり使わずにこの世を去ってしまうのです。その人たちが残した資産に対して適切な課税が行われているかというと、残念ながらそれははなはだ不十分だと言わざるを得ません。

★ 相続税の税率の刻みや、課税ベースの見直しも ★

 現在、毎年およそ100万人のお年寄りが亡くなりますが、そのうち残された遺族の方々が相続税を支払わなければならないケースは、亡くなった方ベースで約5万人です。そしてその金額は1兆5000億円(2010年予算見込み額)です。この税額はガソリンの税収2兆6000億円の57%、酒税1兆4000億円よりやや多いのが実際の税収です。このデータを見てどう考えるかが問題です。

 わが国の税制を考える際に、「所得、消費、資産に対してバランスのとれた税制」とよく言われますが、所得税が約15兆円、法人税が10兆円、消費税が10兆円となっているのに対して、資産課税である相続税が1兆5000億円では、やはり資産に対する税金が軽すぎるのでないでしょうか。

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