■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2010/07/21号」
「―Financial Adviser 8月号 海江田万里の経済熱線―」

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★ 法定相続分課税から遺産取得課税方式へ ★

 さらに、現行の相続税の課税方式は「法定相続分課税」といって、実際の相続割合とは関係なく、法定相続割合で相続したという前提に立って税額を決定します。長男が遺産のほとんどを相続しても、法定相続分の計算式で税金が決定されますから、これではせっかく設けた累進税率の効果がほとんどなくなってしまいます。各相続人の法定相続割合で計算した相続税を合計して全体で払う税額を決め、それをそれぞれの相続割合に応じて負担するのが通例です。

 これを、実際に相続を受けた割合に即して、税率をかけて個々の税額を決定する方式に改める必要があります。「遺産取得課税方式」と呼ばれるこの方法に改めれば、多くの遺産を相続した人には、累進税率が効き多額の税金を納めることとなり、結局、全体の相続税額も増額されるのです。

 これまで相続税収は土地の評価額の上下に左右されていましたが、こうした相続税の見直しによって、土地の評価は上がらなくても、毎年の相続税収を増やすことは可能になります。

 もちろん、少子高齢化社会で年金や医療保険、介護保険をしっかりしたものにするには、相続税だけを増税すればいいわけではありません。将来は必ず、消費税についても増税をしなければならないと考えますが、その前に、相続税の増税というのが多くの方の理解を得られる順番ではないでしょうか

(2010年7月21日 記)
衆議院議員 海江田万里


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