■ 国債の元本返済・利払い負担等、対策が求められる日本の借金問題。■
■ 団塊世代が65歳になる2015年までに財政改革の道筋をつけるべき。■
★ 日本の財政問題はギリシャとは異質のもの ★
昨年末にギリシャで深刻な財政危機が表面化してから、わが国でも「ギリシャの二の舞にならないように財政健全化に励もう」との機運が盛り上がってきました。 菅総理も、選挙直前に唐突に提案した消費税増税について、その直接のきっかけは、ギリシャの財使危機にあると告白しています。
しかし、こうした発言を聞いて感じるのは、「ギリシャの危機に悪乗りしてわが国の財政問題を解決しようとしているのではないか」という疑問です。私の考えは、日本の財政危機はギリシャの危機とはかなり異質のものであるということです。
ギリシャは政治的には1980年代に社会主義政権が誕生して以来、ごく短期間を除いて社会主義者ないしは左派が政権を掌握してきました。その結果、一説には国民の就労人口の40%(実際には30%程度)が公務員となり、全体に手厚い社会保障制度が行われてきています。
一人当たりの雇用者報酬の伸びを見ても、2000年を100とすると2008年には155と、この間の物価上昇(30%程度)を大きく上回っています。こうした労働コストの上昇にともない、ギリシャの国際競争力は急激に下降していました。
今回のギリシャの破綻は「20年遅れのソ連の崩壊」とも考えられるのではないでしょうか。