■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2010/08/17号」
「―Financial Adviser 9月号 海江田万里の経済熱線―」

[2/4]

 また、ギリシャはEU加盟に際し、それまでの「ドラグマ」と呼ばれた通貨を廃止してユーロに統合しました。一国の信用危機が発生した場合、先ずその国の通貨を売ることによって、その国の競争力を維持する動きができることが通常です。しかし、ユーロへ統一したことにより、その方策が封じられてしまいました。

 わが国でも国債に対する信任が損なわれれば、先ず円が売られることになりますが、最近の為替市場の動きは円が売られるどころか、買われすぎの状況です。このようにギリシャと日本の間には大きな政治・経済体制の相違が存在します。そこで改めて、わが国の財政の状況を考えて見ます。

  現在、わが国の国と地方を合わせた長期債務の残高は2010年度末で862兆円に上ります。これはGDP比181%にあたります。 同時に、国は債務に対して金融資産なども多く所有しています。国の債務だけを計上した数字を総債務(粗債務)と言うのに対して、金融資産を引いた債務を純債務と言います。

 国の金融資産については、さまざまな計算方法がありますが、国の貸借対照表に基づいて計算するとざっと350〜360兆円程度になることが分かります。この金融資産を差し引いた純債務はおよそ500兆円と考えられて、ほぼGDPと等しい額です。

 OECDによる国際比較でも、2010年6月の日本の純債務残高はGDPの114%となり、イタリアの104・1%と大差なく、米国の66・6%のほぼ2倍弱の数値であり、財務省は総債務の数字ばかりを強調していますが、純債務についてもきちっと説明すべきでしょう。

[1/4] [3/4]
前の話 次の話

海江田万里の政経と生計のカンケイTOP
エンタメワールドモバイルTOP
(C)AnswerCorporation