■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2010/09/22号」
「―Financial Adviser 10月号 海江田万里の経済熱線―」
[3/3]
★土地は所有するものではなく利用するものという意識を ★
国民の土地に対する意識改革も必要です。以前よりだいぶ変化はありますが、国民の土地信仰はまだまだ根強いものがあります。しかし、私は、土地は所有するものではなく利用するものと考えています。土地は借地にし、その上の建物を所有するという考えをもっと推進すべきです。こうして土地に払う金額が安くなれば、その分建物にお金をかけられます。これまでのように5000万円の住宅でも、土地代3000万円、建物2000万円という計算の土地代と建物代を逆転させなければなりません。
土地に支払う資金はお金の循環という意味では、流れがストップしてしまいます。しかし、建物の資金は、それこそ建築業者を始めとして、各種の業種にお金が回り、経済活性化の効果が大きくなります。こうした考えを後押しするためには、定期借地権の法律をもっと使い勝手がよくなるように改正する必要があります。
★ リバースモーゲージの活用が私的年金を生み出す ★
建物は所有すべきだと考える理由は、建物を担保にリバースモゲージを利用する方法があるからです。リバースモゲージについては、すでにこの連載でも何度か書きましたからよく理解されていると思いますが、住宅を担保に老後の資金の融資を受けるものです。
例えば、65歳で最初の住宅ローンを全部返し終わったとします。それからの夫婦の残りの人生を20年と仮定して、20年後のその住宅の価値が仮に1000万円とするならば、20年間、毎月4万円余りの資金を借りられることになります。住宅の価値が20年後でも2000万円あれば、毎月の金額は2倍の8万円になることは言うまでもないでしょう。
こうしたリバースモゲージの資金が、公的年金の不足分を埋める私的年金になるのです。これまで住宅を私的年金に活用するには、マイホームのほかにもうひとつ賃貸用の住宅を手に入れなければなりませんでしたが、このリバースモゲージの方法なら、自宅があれば、そこから私的年金が生み出されるのです。
もちろん、そのためには住宅が100年くらいはもつように設計、建設されていなければなりません。日本の住宅は平均すると約30年で、取り壊される運命のようですが、建てては壊す現在のやり方は資源の無駄遣いです。住宅メーカーや建築業者には、ぜひ100年住宅を建ててもらい、そうした長期使用に耐える住宅を購入した場合には、消費税を軽減するくらいの優遇があってしかるべきです。
これまで世界第2位の経済大国であった日本の住宅事情が、現状のような有様では、本当に恥ずかしいとかねてから思っていましたが、日本をもう一度元気にするのは、私たちの生活に一番身近な住宅問題について、国民全体で考えてみることが必要でしょう。
(2010.9.22記)
衆議院議員 海江田万里
海江田万里の政経と生計のカンケイTOP
エンタメワールドモバイルTOP
(C)AnswerCorporation