★日本は欧州危機がアジアに及ぼす影響に楽観的すぎる★
欧州危機に対してEUのユーロ圏17カ国は包括策に合意しました。これを受けて、東京市場の株価が値上がりをするなど、市場には安堵感が漂い始めましたが、果たして、このまま欧州危機は収束に向かうのでしょうか?
私は、まだ深刻な問題が残っていると思います。そのひとつが、アジアに対する資金の供給が、今後、細ってくる可能性があることです。現在、アジア経済は世界経済を引っ張るエンジンの役割を果たしていることには誰も異論はないでしょう。しかし、その成長のエンジンに資金という燃料を供給しているのはヨーロッパです。
手元のBIS(国際決済銀行)のデータでは2011年3月現在、アジア向けの資金の55%が欧州から来ています。欧州の中で一番大きいのはイギリスですが、次いでフランス、ドイツ、スイス、オランダ、イタリアとなっています。ちなみにアメリカの資金は
22%、わが日本の資金は9%でしかありません。
アジアの成長を支えているのはこのヨーロッパからの資金の流れです。この流れが、今後EU諸国の銀行の資金回収や新規の資金供給制限によってストップしてしまうおそれがあります。