■海江田万里の政経と生計のカンケイ【不定期更新】
「海江田万里の政経ダイアリー 2012/3/6号」
「―企業年金財政難と金融自由化影の部分―」

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★AIJ問題で浮き彫りになった企業年金財政難と金融自由化影の部分★

 AIJの問題は、国会議員の関心も高く、民主党の財務金融部門会議 でも金融庁、厚生労働省からヒアリングを行いました。今回のAIJ 問題の背後には、現在の日本が抱える深刻な課題が横たわっています。

 ひとつは、企業年金の財政難の問題です。社会保障と税の一体改革で は、公的年金の財源問題がクローズアップされていますが、企業年金 も事情はまったく同じです。大量採用した団塊世代が、続々と企業年 金受給者になっているので、企業はこれまでの積立金を取り崩すこと になりますが、その積立額がすでに不足しています。不足額は企業が 穴埋めすることになります。しかし、現在の企業にそんな資金はあり ません。いきおい積立金の運用利回りを上げて、当座の積立金不足を しのごうとするのです。

 AIJはそんな企業年金の弱みを巧みについて、高利回りの運用をう たい文句に、中小企業の企業年金の運用を任されてきました。

 もうひとつは、金融自由化の影の部分が浮かび上がってきたことです。 1990年代の日米金融協議で、米国は強く日本の金融自由化を迫り、 企業年金の運用規制の緩和と投資顧問の参入が行われました。

 それまでの企業年金の資産運用は、たとえば株式や外国債券などへの 配分は30%以下に抑えるとの規制がありました。この規制は 1997年に廃止されました。投資顧問業の参入も同時期です。規制 緩和については利用者のメリットもあった一方で、今回のような事件 がおきると、その負の部分が際立ってきます。


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