★地方分権の推進と都市再生への資金供給が肝心★
国土交通省が今年の4月1日時点の地価動向調査を発表しました。新聞各紙はあまり大きな扱いをしませんでしたが、大事な内容を含んでいるので、改めて紹介します。
この調査は全国の主要な住宅地と商業地150ヶ所を対象に年4回行われ、前回は今年の1月1日現在の地価を調べたものです。
今回の調査では、前回に比べて22地区の地価が上昇し、「上昇」と「横ばい」を合計した地点が102ヶ所となり、全体の3分の2を超えたことが分かりました。この調査結果から分かることは、わが国の地価が「長い下落の時期を経てやっと底入れした」事実です。もちろん、これは全国の大都市の地価に見られる傾向で、多くの地方では「まだまだ底入れしていない」という反論があるはずです。
しかし、大都市に限っているとは言え、地価が底入れしたことは、長く続いたわが国のデフレ経済からの脱却への重要な一歩だと考えています。
改めて確認すると、わが国の地価は、この20年間に約1200兆円下がり、これが景気回復の歩みを大きく妨げていたことは明らかです。いわゆる資産デフレが経済成長の足を引っ張っていたのです。
資産デフレと言えば、もうひとつ株価の動向が気になります。6月4日の東京市場では、日経平均株価が8300円を割り込み、年初来、最安値となりました。同時に円高が進み、同じ日の為替相場は1ドル=78円台前半で推移しています。
長く続いたデフレ経済の暗いトンネルの向こうにやっと出口が見えてきた矢先に日本経済は冷水を浴びせかけられました。政府が今とる方策は、二つに分けられると思います。
ひとつは、目先の円高、株安に対する対応。為替市場に対する介入も必要ですし、総理と日銀総裁の緊急会議も行うべきです。もうひとつは、上向いてきた大都市部の地価を持続させ、どうやって全国に波及させるか。これは地方分権に力を入れることを通じて、地域に経済を活性化させる自主権を与え、そして、大都市地域の再生のための資金供給を十分に行うことです。
今、目の前にある経済危機を乗り切り、デフレ脱却にこそ、総理は政治生命をかけ、全力を傾けるべきです。
衆議院議員 海江田万里
※夕刊フジの原稿に加筆修正いたしました。