■コバヤシのコバナシ【金曜更新】

それぞれのメークドラマ

 「メークドラマ」と聞いて、大抵の方は「元巨人・長嶋茂雄監督」が頭に浮かぶのではないだろうか。この言葉は、1996年に巨人軍を表す代表的な言葉となり、その年の流行語にもなった。
 当時、首位に立った広島カープ。巨人は、最大で11.5のゲーム差をつけられていた。
 しかし、そこから巻き返した巨人。シーズン中盤だったものの、この巻き返しは野球ファンもそうでない人も、熱くなったことだろう。
 
 そして、先日、こんな話を知人から聞いた。
 内容は地方(競馬)で走る1頭の馬のことだった。
 
 ここ最近の殆どのレースは、下から数えて3位〜5位が常連。
 馬主を含めた関係者は、これでは・・・と思い、3月頃までに結果を出さなければ「乗馬施設へ譲渡しよう」と、半ば諦めに近い感情を持ちながら、とりあえず3月まではレースに出すと話し合っていたそうだ。
 一時は中央に在籍し、そこそこの成績を残したが、現在は地方で不振にあえいでいる。一頭の馬へ対する想いは、いつしか、しおれ始めていた。
 
 期待やプレッシャーをかけて本領を発揮するもの、それとは逆に、期待もプレッシャーもなく気ままにしていて結果を残すもの、馬も人もそれぞれである。
 
 そんな事もありながら迎えた先日のレース。「優勝!」と言う形で、書きたかったのだが、惜しくも2着。だが、それはハナ差で、かなりの大接戦だったのだ。
 こうなると3月の「乗馬施設」は、当然見送りである。
 馬主や関係者達は、良い意味で「裏切ってくれた」と、嬉しそうに話していた。
 
 巨人のように、窮地に立たされてからの「巻き返し劇」。そして、諦められた馬の、見事な「裏切り劇」。
 人それぞれ、馬それぞれに必ず一つはあるメークドラマを、あなたはもう経験しているだろうか・・・。

(2009.2.6)


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