人は皆、子供の頃に夢を描き追い求める。
だが、夢を追い求めるのは子供だけなのだろうか?
子をもつ親は、子供の成長に自身の果たせぬ夢を叶えようと試みる。一種の愛情表現として、新たな夢を子に託すのだ。
今回はどの年代の方でも楽しめる映画『ダービースタリオン』をご紹介。
少年パトリックは、まだ模索中で夢を見出せないでいたが、自分の夢は父が子に持つ夢=野球選手ではないことだけは確かだと感じていた。
近所で農業を営み、かつて優秀だった障害レースの黒人騎手ヒューストンとパトリックは友情を築き、同時に唯一心許せるヒューストンを馬の師匠として仰ぎ、ダービーに出場することを決める。
パトリックの中で「不確かな確信」が次第に膨らみを増し、ダービー出場=騎手になることが自分の夢であると気付き始める。
パトリックの行動を見て、それまでの父子の確執も次第に角が丸くなり、父は徐々に息子を応援するようになっていく。
その最中、ヒューストンは元々患いのあった心臓病が悪化し、ダービー出場を見届ける前に他界。
師匠であり親友の死に、パトリックは塞ぎこみ出場を辞退するのだが、ヒューストンの部屋で、彼が亡くなる前日に用意したパトリックへの勝負服を発見し、その服と共に彼が遺した手紙で再度出場を決意し、パトリックは勝つことを誓う。
ほのぼのとしたストーリー展開の中に切なさと懐かしさが入り混じり、幼き日の自分を思い出し、誰しもが通る青春時代が上手く表現されているように感じた。
その夢に向う子供を応援する人々の様子もとても心地の良いものに仕上がっている。
この週末、一人でも家族でも馬の映画で存分に楽しみ癒されてみてはいかがだろう。
(2008.5.2)