■【馬ロマン】
第六回目ゲスト:猪木淑郎さん(全4話)
-伯父の一言がきっかけで獣医師に・・・(3/3)-
Q:一般的に言われている「獣医師」と「臨床獣医師」とは違うものなのですか?
「獣医師」とは、獣医師の国家試験を通り、免許を持っている人一般を示し、「臨床獣医師」とは、特に獣医診療行為を行っている人を指すと思います。
Q:臨床獣医師という職業は常に生と死を間近に感じる職業だと思いますが、死という現場に直面したとき、どのように心の整理を付けていますか?
生産地の獣医師は、自分の仕事が常に死と隣り合わせにいる事を認識しています。
ですから、自分が診ている馬が死ぬのか、助かるのか、死ぬとすれば、如何なる経過を辿るのか、冷静に分析しています。
それがカンか、又は科学的検査であるかは、ケースバイケースですね。
心の整理と言うより、冷徹な判断力でしょうか。
Q:臨床獣医師なってよかったなと思うことはありますか?
もちろん、病気が完治し、不受胎が続いた馬が受胎した時の充足感は否めませんが、苦楽を共にした生産者の生産馬が競馬場で活躍した時、喜びを分かち合い、感謝された時が最も嬉しい時でしたね。
「ミスターシービー」の時がそうでした。本当に獣医冥利に尽きる思いでした。
Q:臨床獣医師になって大変だったことはありますか?
自分の未熟や知識経験不足で、馬を助けてあげられない時かなぁ?
信頼も失ってしまうし!
そんな時は、悔しくて、眠い眼をこすりながら、成書や、海外の文献を読み返したものでした。
Q:馬の臨床獣医師を目指そうと思っている方に何かアドバイスがあればお聞かせください。
現在、全国の獣医学部には、大動物診療を志す学生が少ないと聞いています。
そして、馬となると、さらに少数派との事です。
他の社会も同様だと思いますが、私の仲間の獣医師たちは、本当に素晴らしい人材が多く、職業の厳しさを共有できる、人情派や、理論派の人脈の輪があります。私が獣医師を志した(少し 不純でしたが)40年前と今とでは、馬を取り巻く環境は雲泥の差があるでしょうが、馬には、他の動物にはない魅力があり、今も昔も変わらないものだと思います。
純粋に馬獣医学の追究もよいでしょう。
又、馬を愛する気持ちからのアプローチもよいでしょう。
何れであっても、多くの若い人たちに、馬の社会に参入して欲しいと思っています。
日本の馬獣医学は確実に進歩しています。
理論と実践、文献と実技、そして創造と実現を叶えるフレシュな人材が、私たちの後継者であって欲しいと願っています。
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