■【馬ロマン】
第六回目ゲスト:猪木淑郎さん(全4話)
-馬を生産する苦労と喜び(1/2)-
プロフィール


Q:日高軽種馬農業協同組合を辞められて、えりも農場の場長のなられたのはどんな心境の変化からですか?

  学生時代には、獣医師になるというより、できれば競走馬を生産してみたいと言う気持ちが強かったからかもしれません。

 しかし、馬の知識を得るには、まずは獣医修行かなと思っていたのも事実です。

 そして組合の海外獣医研修でアメリカを訪れ、ニジンスキーやセクレタリアート、ブラッシンググルーム等数多くの名馬を身近に観て、その思いが増してきたと思います。

 そんな漠然とした気持ちと、以前からお世話になっていた、えりも農場に転身しました。

Q:生産業の魅力をお聞かせください。

 やはり、何かを作りあげると言うことかな。

 世界的な生産者のダービー卿や、アガ・カーン氏、そしてフェデリコ・テシオ氏の生産理論やエピソードを参考にしながら、自分も同じ土俵に立っているのだと想像するとワクワクしました。

※ダービー卿・・・ダービー伯爵ともいう。イギリス貴族の爵位でイギリスダービーはダービー伯爵(卿)の名を冠してつけられた。各国の競馬のダービーもこれに由来する。

Q:育成業の魅力をお聞かせください。

 「育成」は自分のイメージで配合した作品に磨きをかけ、完成させる事ではないかと思っています。

 馬は成長過程で変化していきますが、最後に、自分の思い描いていた様な能力を発揮してくれれば、完結なのですが、とにかく無事競走馬として送り出す事が仕事だと思います。

Q:生産業と育成業、実際に関わってみてどちらのほうが興味深かったですか?

 一概には言えませんが、生産つまり配合に関しては、四六時中、頭の中で創造しています。

 自分の管理している繁殖牝馬や産駒を見ている時や、種牡馬の写真を見ている時も、常に想像しています。

 他の牧場生産の注目されている種牡馬の産駒も参考にします。

 創造を確かなものにする為に、多くの実馬観察と関連書物も大事になってきます。

 哲学的楽しみでしょうか。

 一方育成は、徹底した個体管理が求められます。

 こちらは厳格な観察力と注意力、何と言っても体力ですね。

 昔から「馬には手豆を食わせろ。」と言われてきましたから。

 自分の作った作品(産駒)を完成させるために、育成はあると思って仕事をして来ましから、どちらも大事です。
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