■【馬ロマン】
第六回目ゲスト:猪木淑郎さん(全4話)
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夢みる事こそ人間に与えられた特権
(2/2)-
Q:やはり配合(血統)は走る馬にとっては重要だと思いますか?
最も重要なファクターだと思います。
「氏より育ち」と言う言葉がありますが、競走馬は「育ちより氏」でしょうか。
反論はあるかもしれませんが、私はそう信じています。
競走馬は競走中、有酸素運動と無酸素運動を同時に行っているので、筋肉の型の組成、つまり、遅筋と速筋の組成と質は大事だと思います。
それと細胞の活力に関するミトコンドリアDNAは母系の遺伝子が司ると言われているので、牝系は最も重要は因子でしょう。
Q:獣医学的に理想の馬体っていうのはあるのですか?
獣医学的にと限定すると、第一に「馬」として欠陥を持ってないことでしょうか。
専門的な言葉で言うと、「プアーパフォーマンス」の少ない馬の事だと思います。
骨格や筋肉にも異常がなく、又、呼吸器や神経系統も正常に機能している状態だと思います。
平たく言えば、購買の対象になる馬のことでしょうか。
Q:猪木先生ご自身で理想の競走馬の馬体などありますか?
好みの問題かな?
どちらかと言うと、ヨーロッパタイプの末脚の利くサラブレッドが好きです。
そして、たとえ、どこかに欠点があっても、それを補うものがあれば良いと思います。
馬の成長や人の努力で克服できるものも多くありますからね。
Q:猪木先生の考える理想の競馬社会をお聞かせください。
日本の競馬は競馬先進国を目標に、生産や育成調教技術、及び獣医学が発展してきましたが、内厩制度を硬く堅持して来たため、今、制度疲労が起きつつあると思います。
外国のようにすべてオールカマーとはいかないかもしれませんが、人も馬も、もっとオープンになれれば好いと思いますね。
又、競馬の売り上げは国に貢献している訳ですから、生産等は、農政に位置づけて貰いたいものです。
Q:「これだけは伝えたい」ということがありましたらお聞かせください。
競馬はギャンブルには違いありませんが、競馬にはそれだけではない魅力があります。
華やかなレースのゴールがその到達点なのですが、携わる人々が夫々のポジションで、研究や工夫を重ね、大きな夢見ながら日夜努力しています。
「夢をみる事こそ人間に与えられた最も大きな特権なのですから。」
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