■【馬ロマン】
第八回目ゲスト:小西英司さん(全4話)
-馬たちのことー(1/3)-
Q:昼夜放牧になじめない馬もいると思うのですが、その場合何か対策があるのでしょうか?
一般的にサラブレッドは、昼夜放牧に順応するのに他の馬より時間がかかります。
馬の年令にもよりますが、1年くらいはかかるようです。
基本的に高齢の馬でない限り、健康であれば時間の差はあれ、順応できると思います。
現在40頭いる引退馬の中で、最終的に第1段階の放牧場に行けないと思われるのは、4頭です。
3頭は高齢のため、1頭は慢性の蹄の病気のためです。
私たちは、何がなんでも昼夜放牧とは考えていません。
私たちの重要な仕事の1つは、馬を4段階ある飼育環境※の、どこにシフトするか決めていくことです。
それには馬の体の状態はもちろん、精神面、友好関係や季節などを配慮して、決定します。
そのような中で個体差はありますが、徐々にステップアップして、昼夜放牧に慣れていきます。
長年厩舎生活してきた馬たちも、馬が本来持っている順応力や免疫力は、失っていません。
私たちの仕事は、それを上手く引き出してやる事だと思っています。
※4段階の飼育環境
1段階・・・健康上問題のない馬→本放牧地で昼夜放牧生活。風雨の日は馬たちが自分の考えで行動し、森や退避屋根に避難します。
2段階・・・昼夜放牧生活に身体を慣らしている馬、少し痩せてしまったり、怪我をしてしまった馬、毎日特別な治療が必要な馬。→アート牧場側の放牧地。いつでも馬を注意して見る事ができ、風雨の日でもすぐに馬着を着せたりと、細やかにケアができます。
3段階・・・熱が出たり、怪我のため特別なケアが必要な馬。→アート牧場側放牧地の屋根付きパドック。風雨でも馬体は濡れず、外的要因のストレスを軽減できます。
4段階・・・厩舎での飼養が必要な馬→車で5分ほどの厩舎。外的要因のストレスをなくし、治療等に専念できます。
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