「控除率」と聞いても競馬に関心のない人は、「それ何のこと?」といった反応ですが、競馬ファンにはすぐピンと来る用語でしょう。馬券の売り上げが低迷すると、必ず議論されるのが、この控除率の問題です。
これまでわが国の競馬の控除率は25%というのが長い間の常識でしたが、先ず2005年の競馬法改正で単勝、複勝に限って控除率20%が可能になり、次いで2007年の改正で、ダービーや有馬記念などの重賞レースでは全ての投票法で控除率が20%になりました。
控除率が20%とは、仮に、中央競馬で1レース1億円の売り上げがあれば、その20%=2000万円が国と日本中央競馬会に入って、残りの80%=8000万円が当たり馬券を買った人に分配されるということです。控除率というのはギャンブルに付き物の「テラ銭」ですから、もちろん安いに越したことはありませんが、まあ、世界的に見ても20%は、さほど高くない数字と言えるのではないでしょうか。
全レースの全ての投票法の控除率が20%になれば言うことはありませんが、それでも頭の固い農水省がよく、ここまで踏み切ったと、ここは褒めておきます。そこで、他の公営ギャンブルの控除率がどのくらいか調べてみると、自治体宝くじが54%、スポーツ振興くじ(toto)が50%、といずれもかなりの高率になっています。
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【ちょこっとメモ】
中山競馬場の「中山」のとは?
中山競馬場の現在の住所は「千葉県船橋市古作1丁目」となっていますが、その当時附近には「中山」の地名だったことからその名を引き継ぎ現在に至っているそうです。なお、同じ「船橋」の住所がある「船橋競馬場(地方競馬)」とは異なるのでご注意を。 |
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ちなみにパチンコの控除率は12%、アメリカンルーレットは0・5%程度という数字をどこかの新聞記事で読んだ記憶があります。常識では地下に潜ったギャンブルはテラ銭が高いのではと思い込みがちですが、実際にはそうではなく、国に認められたギャンブルの方がはるかに控除率(テラ銭)は高いことが分かります。
これはひとえに競争があるかないかの結果で、非合法あるいは半合法(?)のギャンブルは競争原理が働き、テラ銭が高ければ、客が逃げてしまいます。「公営ギャンブルに競争原理の導入を」といっても、無理な相談かも知れませんが、それにしても、宝くじやスポーツ振興くじは50%を越える控除率でファンはよく黙っているものだと私は妙に感心をしています。
つづく
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