かなり以前から気になっていたのが、競馬の配当金は380円というように、10円以下が切り捨てられている点です。どうしてそうなっているのか?
その疑問をベテランの競馬記者にぶつけたことがあります。記者の答えは「競馬法にそう書いてあるからだよ」とにべもありません。そこで私は六法全書の埃を払って競馬法を調べてみました。
すると、競馬法の第10条には、「払戻金の1円未満の端数は切り捨てる」とあるのです。「あれ、この決まりなら1円まで払い戻して、何10銭という1円未満が切り捨てになるのでは」と考えて、先程の記者にもう一度電話したところ、話はそれほど単純ではないことが解りました。
記者が指摘したのは競馬法の第5条で、そこには、「日本中央競馬会は券面金額10円の投票券10枚以上を1枚とした投票券を販売することができる」となっています。つまり本来の勝馬投票券の単位は10円で、配当金の1円未満は切り捨てるのですが、中央競馬会は10円の勝馬投票券を実際には10枚束ねて100円単位で売っているので、切り捨てる金額も1円未満×10枚分=10円未満となるのだそうです。
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【ちょこっとメモ】
GTや重賞とは?
年間、約3000レースが開催される中でGT・JpnT(平地)、J・GT(障害)、日本 ダービー、ジャパンカップや有馬記念など24種類の最高峰のレースがあります。重賞は別名グレードレースとも呼ばれ他のレースより馬のレベルや賞金が高く、GT・JpnT、GU・JpnU、GV・JpnVの3種類があります。
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そして、この切り捨てられた10円未満の金額は、どこへ行くのかというと、これも競馬法に規定があり、日本中央競馬会の懐に入るのです。1年間で、こうして切り捨てられて競馬会に入った金額がどのくらいになるのか?
日本中央競馬会の情報公開室に問い合わせたところ2007年度で75億7000万円ということが判明しました。中央競馬会の年間売り上げがおよそ2兆8000億円ですから、売り上げの0・3%にあたります。
「細かいことを言うな」という声も聞こえてきそうですが、私は競馬法を変えて1円単位で払い戻すか、せめて切り捨てではなく、四捨五入にすべきだと思いますが、皆さんのご意見はいかがでしょうか?
つづく
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