「ばんえい競馬」ファンのCさんからメールをいただきました。Cさんは、このコラムで、いつ「ばんえい競馬」が登場するのか、楽しみにされており、なかなか紹介されないのに痺れを切らしての催促のメールでした。
私も「ばんえい競馬」の不思議な魅力には心惹かれていました。といっても実際にナマの「ばんえい競馬」を見たことはなく、話を聞いて知っている程度ですが、2年位前に帯広の「ばんえい競馬」をテーマにした映画『雪に願うこと』が東京国際映画祭に特別出品した際、鑑賞した記憶があります。
この映画については次週ふれることにして、今週はCさんのリクエストに応えて「ばんえい競馬」について説明しましょう。
北海道では古くから農閑期に、農耕用の馬にそりをひいて走らせる「草ばん馬」という競技がありました。これを基礎に1953年に北海道の旭川、北見、岩見沢、帯広の4市が公営競馬としてスタートさせたのが「ばんえい競馬」です。
「ばんえい競馬」の馬は輓馬(ばんば)と呼ばれ、元々農耕用の馬ですから体重も1000キロ以上あります。サラブッレッドの2倍の重さで、スピードより持久力を競います。騎手と重りを載せて、約1トンの鉄製のそりを引いて馬が走る距離は200メートル。途中に1Mと1・5Mの上り坂(障害)があり、この坂を上るときが騎手の腕の振るいどころです。
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【ちょこっとメモ】
「ばんえい競馬」とは?
競走馬がそりを曳きながら力と速さを競う北海道が生み出した世界唯一の競走形態。サラブレッドとはまた違う馬の力強い逞しさが光るレースです。 |
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前に出ようと焦る馬の手綱を強く引いて、力を溜め込み、タイミングを見計らって一気に坂を駆け上りゴールを目指して駆け抜けます。この瞬間は観客も馬と一緒になり、大声で声援を送ります。中には馬と共に競馬場のスタンドを走り出す人もいます。
馬がゴールインしたときは、客も体力を使い切ってくたくたになってしまいます。勝敗より何より、馬との一体感が味わえるのが「ばんえい競馬」の魅力でしょう。
つづく
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