話題の消費税ですが、日本の消費税はヨーロッパ諸国の付加価値税と異なる特徴があります。それは、日本では、毎日の生活に欠かせない食料品から、海外の有名ブランドの時計やバッグなどのぜいたく品まで、同じ税率になっているという点です。
例えば、昨年の暮に消費刺激のために付加価値税率をそれまでの17・5%から15%に引き下げたイギリスでは、そもそも医療費や教育費、郵便料金などは非課税ですし、さらにゼロ税率といって、実際には付加価値税がかからない対象に、食料品や交通費、新聞、書籍の代金、さらには子供用の衣料品などが挙げられています。
またフランスの付加価値税は税率が19・6%ですが、やはり医療、郵便、教育などの費用は非課税になっています。また新聞、雑誌、演劇やミュージカル、バレー、オペラ、音楽などのコンサートの料金には2・1%の超軽減税率が適用され、さらにミネラルウオーター、食料品(菓子、キャビア、レストランでの食事を除く)には5・5%の軽減税率が適用されます。さすが芸術の都パリのフランスだけあって、バレーやオペラの入場料が税金面からも優遇されていることが分かって興味深い制度です。
こうした例を見て判るように、ほとんどの国では
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【ちょこっとメモ】
橋本 龍太郎(はしもと りゅうたろう)
1837年7月29日、東京渋谷区にて出生。第83・84代内閣総理大臣。
橋本内閣のときに消費税が3%から5%に引きあがった。(1997年)
ポマードでセットされたヘアスタイルが特徴で、橋龍(ハシリュウ)というニックネームで呼ばれた。
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生活必需品には付加価値税が課税されないか、課税されても一般より低い税率を適用する配慮がされています。そうしないと、低所得者に対して、税金の負担が大きくなってしまうからです。
日本の消費税は、導入時の税率が3%だったために、食料品などに対して低い税率を適用する必要があまり感じられずにいました。次に税率が5%になったときも、食料品などへの税率をどうするかの議論をほとんどしないで今日に至っています。
今度の麻生総理の発言と、それを後押ししている財務省の案では現行の5%の税率を2011年から毎年1%ずつ上げて、2015年には10%にしよういうのですから、その前に、食料品など生活必需品の税率を低くする議論があってしかるべきだと考えられます。消費税が日本に導入されてから20年経ち、この間日本人の所得や資産の格差は拡大しました。こうした情勢で現在の消費税をそのままにして、とにかく税率を上げることありきではなく、消費税をどういう性格の税金にするのかの根本的な議論がもう一度、必要でしょう。
つづく
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