「消費税増税の前に、タバコ税増税かギャンブル税創設」という話があります。自民党税制調査会の議論でも、そんな話が出て、話題を呼んだ記憶があります。実際には、両方ともまだ検討段階にすぎませんが、競馬ファンにとってはギャンブル税の創設が気になるのではないでしょうか。
しかし、このギャンブル税は競馬ファンには直接の関係がなさそうです。というのは、競馬の税金は中央競馬の場合、すでに売り上げ利益の10%プラス余剰金の2分の1が国庫納付金という形で国に納められているからです。地方競馬でもそれぞれ主催者の地方自治体に納付金という形で納められています。
ここで議論になったギャンブル税は主に、パチンコの売り上げから一定割合で税金を徴収しようというものです。パチンコの売り上げは、最近の不況でめっきり減ったといっても年間30兆円あります。仮にギャンブル税の税率を10%にしても3兆円ですから、消費税の1・5%分の税収にあたります。
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【ちょこっとメモ】
11月14日はパチンコの日。
パチンコ業界の団体である全国遊戯協同組合連合会が、1966年11月14日に発足したので、それを記念して1979年に「11月14日はパチンコの日」となりました。 |
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そこで問題になるのは、パチンコは「ギャンブルではない」という法律上の建前です。わが国の法律で、ギャンブルと認められているのは、競馬や競輪などいずれも国や地方自治体が主催する「公営ギャンブル」だけです。パチンコは麻雀と一緒に「風俗営業法」で認められた業種ということになります。
またパチンコはギャンブルと区別するために「射(しゃ)幸(こう)心(しん)を煽らないように」といって、わざわざ出玉の割合に一定の制限を設けているくらいです。
しかし、この射(しゃ)幸(こう)心(しん)という言葉が曲者で、広辞苑によれば「偶然の利益を労せずに得ようとする欲心」と説明がありますが、どこまでの出玉が射幸心を煽ることになるかは、監督官庁の警察庁の匙加減ひとつになっています。
最近、「日本でも経済活性化のためにもカジノを開くべきだ」との意見もあり、国会議員の中にも与野党共に「カジノ議連」が誕生しています。こうした動きが高まるにつれ、パチンコやカジノを対象にしたギャンブル税の議論も再浮上する可能性があります。
「取り易いところから税金を取る」というのがわが国の財務省の基本的な考えですから、納付金のアップという形で、競馬ファンにいつ増税の火の粉が降りかかってくるか分かりません。税金に関心を持ち続けることが必要な所以(ゆえん)です。
つづく
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