六〇歳の誕生日を迎えると「還暦」と呼ばれることは皆さん御存知の通りです。前のコラムに書いたように干支(えと)の10と12の最小公倍数が60ですから、六〇年経つと、生まれた年の干支に戻ることから暦(こよみ)が還(かえる)、つまり「還暦」と言われています。
中国の思想家である孔子は『論語』の中で、六〇歳を耳順(じじゅん)と表しています。
「吾(われ)、十有五(じゅうゆうご)にして学(がく)に志(こころざ)し」で始まる有名な文章の一節です。この文章の中では、三〇歳は而立(じりつ)、四〇歳は不惑(ふわく)、五〇歳は知命(ちめい)、六〇歳を耳順(じじゅん)と言っています。
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【ちょこっとメモ】
長生きする動物は?
生きた化石とも言われるゾウガメ。簡単に100年以上生きるといわれています。非公式ですが200年以上生きたゾウガメもいるそうです。ゾウガメからみたら人間の60歳なんてまだまだ子供!? |
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また、七〇歳を古稀(こき)と呼びますが、これは孔子の『論語』ではなくて、中国の盛唐の詩人、杜甫の『曲江(きょくこう)』の詩の中の「人生七十古来稀(こらいまれ)」によるとされています。
八十八歳は米寿。米の字を分解すると八十八になるからで、九〇歳の卒寿は卒の略字が九と十に分けられるからです。百に一歳足りない九十九歳は白寿です。
昨今の還暦祝いは、昔のように長寿を祝うという性格はほとんど無くなり、替わって強調されているのが、人生の折り返し点、ないしは第二の人生のスタートとでも言うべき意味合いです。私も誕生日に、事務所の皆が、個人的な友人を集めて還暦祝いを開いてくれましたが、そこで友人たちからのお祝いの言葉は「第二の人生のスタートオメデトウ」でした。
たしかに、六〇歳の男性の平均余命は、二十二・一九歳あります。つまり、平均で後二十二歳ちょっと生きられる計算ですから、残りをどのように充実した人生を送るか大いに考えなければなりません。ちなみに六〇歳の女性の平均余命は二十七・九二歳で、男性よりさらに五歳以上長生きです。
私自身は、政治の仕事がまだ道半ばですから、先ずは国会復帰を目標にしていますが、そろそろその後のことも考えようと思っています。大学時代の友人の何人かは、すでに定年退職を迎えて、新しい人生を歩み始めています。ほとんどは子会社などに再就職していますが、昨今のような景気悪化に伴い、再就職がままならなかった人もいるようです。景気回復を願うのは、新卒の就職希望者だけでなく、定年後の再就職希望者もいるということを忘れてはならないでしょう。
つづく
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