世界各国で少子化が懸念されている昨今。子供は減少傾向にあると言われている。 しかし、子供たちの抱く「夢や希望」は、いつの時代もどの子にも平等に与えられる。将来、成りたいと思える選択肢においては、子供人口の減少とは反対に、増加しているのではないだろうか。 そこで今回お届けするのは、そんな子供たちの夢の一つを描いたフランス映画『ジョッキーを夢見る子供たち』。 フランスの国立騎手・厩務員養成寄宿学校が舞台となり、そこに通う子供たちの話である。 遠く親元を離れ、プロの騎手になる為に、良き仲間でありライバルである、同じ夢を目指す同志たちと共に、そして馬と一緒に成長を遂げていく作品だ。 人と馬、人と人の感情のすれ違いをリアルに描いている。 一番多感な時期に、多感な動物=馬と向き合い、何度もくじけ、挫折しそうになっても、自分たちが抱いた夢が、彼らの弱さを克服させてくれる。 寄宿舎での生活では、人は二番に属し、一番は何と言っても「馬」だ。 憧れて入った世界にギャップを感じるもの、その資質を十分に確認し活かすものなど、同じ子供たちでも、受け抱いた感情は、皆異なる。 寄宿舎に入ったからと言って、確実に騎手・厩務員になれるという約束はどこにもされていない。そこで感じ取った自分の気持ちの変化が、将来への、自分たちの道標となるのだろう。 この作品には日本を代表する名騎手、いや、いまや日本のみならず海外の競馬界においても、幅広く知られているのではないだろうか。そう、我らが武豊騎手が登場する。他にはペリエ騎手も登場するなど、日仏、夢の詰まった一作である。 ドキュメンタリーが生み出す本当の感動を、楽しんで頂きたいと思う。 (2009.1.30)