春の訪れを感じ始めた先週とは打って変わり、再び、冬の寒さが舞い戻ってきた今日この頃。天気予報の中では、現代版の春を表す季語の如く「黄砂」という言葉が、何度も耳に入り、各局、番組内でも「これからは春の代名詞の一つは、黄砂になりそう」と話していた。 さて、我々が慣れ親しんでいる競走馬や乗馬クラブの馬達だが、今回は普段とは少し違う、「大人の休日」をテーマに、コバナシをお届けしよう。 日々の疲れを癒してくれる愛馬達の、華麗で幻想的な世界だ。 その名は「騎馬スペクタクル『Zingaro-ジンガロ』」である。 フランスはパリ郊外のオーペルヴィリエを拠点とし、様々な国籍のメンバーや馬を引き連れ、スペクタクルな騎乗芸術を披露し、観客を魅了している。 「スペクタクル」とは、簡単に言えば、映画や演劇などの豪華・壮大な見せ場や、そういった見せ場のある作品のことを、ここでは表すのがいいだろう。 主宰者であり、制作・演出も手がけるパルタパス氏。世界各国における多彩な民族や文化に刺激を受け、様々な要素をふんだんに盛り込んだ、その独創的な演出は、まさに「生きた馬のアート」とも言える。 競走馬と騎手の関係もそうだが、馬と人が深い信頼関係をもち、生まれた芸術。それが、この「ジンガロ」であると私は思う。 何より、「馬が人に踊らされている」感覚ではないのが、一番の要。 馬が人を信頼し、人も騎乗する馬に信頼深く、それぞれが良いパートナーとして、互いに演技すること好む。 そして、各々自らの秘められた力を、相互に発揮できる場所。 それが、「ジンガロの舞台」であると感じた。 心を折るようなニュースが相次ぐ中、生命力に満ち溢れる、馬と人の心に響く芸術で、大人の休日を過ごされてはいかがだろう。 (2009.2.20)