先日、気象庁の桜の開花宣言が発表されたものの、未だ、暖かな春の陽気と冬のなごりが一進一退と競い合っているようだ。 そんな気候も安定しない中、次々と嬉しいニュースを耳にした。 サラブレッド達の出産である。 本来、競馬や馬関係者の間では春を表す季語のように、サラブレッドの出産時期は春が殆ど。しかし、ここ数年では、少し早めの一月下旬〜二月頃の出産も多くなってきたそうだ。 そして、今。 三月も後半に入り、出産の時期は最盛期になり始めている。 TVのドキュメントなどで、たびたび取り上げられる馬の出産。仔馬が誕生しても、周囲は手を貸さず、自力で立ち上がるその姿は、とても感動深い光景である。 脚をプルプルと震わせ、必死に耐え凌ぎ、生まれてすぐに大きな試練が待ちわびていようとは、母のお腹で眠っている時には、想像もしていなかったことだろう。 人でも馬でも、頑張っている姿を目の当たりにすると、自分達に眠っているパワーが呼び起こされる気持ちになる。そう刺激を受け合い、馬も人間も成長していくのではないだろうか。 新たな命の誕生と共に、また一つ周囲も責任を持ち、強くなれるような気がする。 この時期、競馬場へ出かけ、目の前で颯爽と力強く走る馬を観ると、こうレースで疾走するまでには幾人もの人たちによって育て、愛でられてきた命なんだと、つい嬉しさと感動で涙腺がゆるんでしまうものだ。 同時に、こういった深い感動や喜びを与えてくれる若い命の誕生は、競馬や馬好きの我々にとって、未来へのプレゼントのように思える。 (2009.3.27)