じわりじわりと、肌にうっすらとベタつきが増える6月の梅雨。 異常気象と言いながらも、こと6月の雨期に関しては、例年通り湿度が上がり始め、いよいよ梅雨に入り始めたようだ。 この時期の競馬は、雨に芝やダートが濡れ、重馬場になり若干レース展開が掴みにくい時期でもある。 だが、重馬場のレース展開とは違い、多少大雨や雷雨などの影響で公共の交通手段が一時停止することはあっても、大方万全に動き、大事故が起こらない限り電車などの時間の展開を読むことは比較的容易だ。他国と比べても、日本のこういった電車やバスなどの時間管理の正確さは、(少し大げさかもしれないが)神業に値する、と海外に住む友人が以前話していた。 都内在住の私も、そんな公共の移動手段を活用するうちの一人である。 先日、電車に乗った際、通勤通学を始め、移動時に乗客が車内でどう過ごしているのか観察していた。読書・音楽・雑談・携帯・資料読み・パソコン・新聞・睡眠など十人十色。それぞれに、車内の過ごし方があるように伺えた。 そんな折、ふと横の男性の手元に目を落とすと、新聞を読んでいる。 それは大井競馬場の出走表が掲載されている地方競馬新聞だった。トゥィンクルに出る馬に周囲を気にすることなく集中し、真剣な面持ちで赤でチェックを入れているところだった。 これも立派な移動時間の有効活用だと感じた。 この男性を含め、競馬場へと向かっている電車内は、到着するまでの間、買った競馬新聞を片手にまずは自分なりに作戦を練り、赤を入れている人が結構多い。競馬場へ到着し、車内で練った作戦と照らし合わせ、現地で最終決定を下し購入するのだろう。 いつも思うのだが、一旦競馬場へ足を踏み入れてしまうと、意外にレースとレースの間が、ゆとりあるように感じるが、実際はあまり無い現実に、慌てふためいてしまう。パドックを見て、馬券を買う、となれば、なおのこと時間との戦いは必至だ。 こうした電車での移動時間は、仕事・勉強・競馬など、一人集中して行うことができる戦闘準備のための貴重な時間。 ただ、電車・バスなどは公共の場、くれぐれもマナーや座席の譲り合いの意識も伴わせて、万全の戦いに挑んで欲しい。 (2009.6.12)