例年より、約一週間早く関東の梅雨明けが、気象庁より報告された。 この時期の梅雨と夏の境目は、正直、実感としてはあまり差が無いように感じる。ただ一つ感じたことは、梅雨空は、どちらかと言えば月に雲がかかりやすく、空全体も真っ暗な空と言うよりは灰色に近い。 だが、気分的なものなのか、梅雨明けした後に、ふと見上げた夜空には、綺麗に輝く夏の星を見ることができたような気がした。 今回のコバナシは夏の日差しがこれから厳しくなる時期に、ちょっと馬と一緒に緑を眺められるスポットをご紹介しよう。 場所は、東京都大田区の洗足池公園である。遠い昔、源頼朝が石橋山の合戦で敗北した後、この池の付近に宿営したのが、園内にある千束八幡神社だ。ここで頼朝が旗幟を建てたことで、別名、旗挙げ神社とも呼ばれており、その近くに馬像がある。 前述にもあるように、頼朝が合戦に破れ、鎌倉へ向かう途中にこの洗足池に寄り、そこで突如として現れた馬、それがこの馬像にもなっている「池月」である。 調べによると、頼朝が、この池へ訪れたとき、青い毛並みに白い斑点を身にまとった野馬が頼朝の前に現れた。そして、その馬の逞しい見事な身体は、前にどっしりと大きく構える池の水面に、それはそれは綺麗に映り、その美しい姿が、水面に浮かぶ月のようだったことから、馬の名を「池月」と命名したと言われている。 沢山の大きな樹木が、池を囲むように立っており、少し日が沈みかけた頃から、ジョギングや犬の散歩をする人、池に向かって座ることができるベンチに腰を落とし、読書や友人達と雑談をしながら涼む人など様々な光景が見られた。 幾年にも亘る歳月が過ぎた今でも、洗足池を眺める馬、池月は、池を見ているようで、実際は人々の安全と幸せを見守っている、この土地の護り馬のように感じた。 (2009.7.17)