昨日関東では、およそ二週間ぶりの雨が降り、乾いた冬の空に幾分かの潤いをもたらした。そのお陰で、気温も三月下旬から、四月上旬並みの温かい日となったが、その後はまた、いつもの厳しい寒さが蘇る・・・。今年の冬は、英国の空を思わせる、一日で四季がくるような暖かくも、寒くもあるという、困らせ上手な天候が続いている・・・。 さて、みなさんは、タイトルの「馬倒成功」が読めただろうか。発音は「マータオチェンゴン」と言う。この音で少しお分かりになられた方も多いのではないだろうか。これは中国語である。 その昔、中国では戦争をする時、馬は戦いを左右する最も重要なものとして考えられていた。その為、名馬を求め、中には、「千里馬」という、千里をも走る馬を探し出す言い伝えもあったそうだ。また古書である「荘子」には、馬の良し悪しを見分けることのできる「伯楽」についても記されている。この「伯楽」に関しては次回のコバナシで詳しくご紹介しよう。 そして、この「馬倒成功」の意味を解剖してみると、まず、「馬上(マーシャン)」は、現代の中国語で「すぐに」の意味となる。また、「旗開得勝 馬倒成功」と、軍旗を掲げ、戦馬が着いた途端に勝利を収める意味から転じ、着手しすぐに成功を収めるという励ましの言葉など縁起の良い言葉として、幅広く中国人の中で愛されているようだ。 根強い人気で、古くから人々に親しまれてきたこの「馬倒成功」という言葉。そして、何より、馬が中国文化にも大きく影響されているということが、これで皆さんも少しはご理解頂けたのではないだろうか。 日本と隣接する国の一つ、中国。馬を愛し貴重に大切に想う国が近くにあるのは、大変喜ばしい事実である。 皆さんもこの「馬倒成功」という言葉を、頭の片隅にでも置きながら古美術品などをご覧になっていただきたい。意味を知ることで、更にその感動は増すことだろう。 (2010.1.29)