先日、東京靖国神社で桜の開花が発表された。例年より6日早く、昨年より1日遅れの開花宣言。寒暖の差が激しく入り混じる日々ではあるが、日増しに春を満喫できる日も、そう遠くないだろう。 さて今回は、北欧からの小さな幸せを呼ぶ馬についてコバナシをしたいと思う。 ここ数年海外に出ていない私は、最近その禁断症状が出始めたのか、英国を中心に、ヨーロッパ各地をネットなどで検索し、脳内旅行を楽しんでいた。休日などはより一層想いも強まり、そのテイストの強い店へ訪れることで、異国の地を感じていた。 そんな時、ある雑貨屋で、一体のかわいらしい馬に出会った・・・・・・。 手に取り、タグを見てみると・・・、「ダーラヘスト」と書いてある。気になり、自宅に戻り再度調べてみると「北欧、スウェーデン生まれの馬」という見出しで色々と画面上に表れてきた。そこには、スウェーデン・ダーラナ地方の馬で、原産はノルウェーともあり、俗に言う「北欧」と呼ばれているその場所で、ダーラヘストは作られてようだ。日本では、「ダーラナ・ホース」として広がっており、ひょうきんでいて、愛らしいその姿は、一目見れば、心がホッとするような温かみのある馬である。 約400年ほど前にダーラヘストは誕生し、その昔、農耕時代、子供達のために、ナイフ一本で手軽に作ることができるおもちゃとして親しまれてきた。単純に「木彫り」だったものに、その後、彩りを取り入れ、彫った馬に色を与えたそうだ。その色使い、そして彫り方にも温かみを感じる。農耕時代に馬と人が共存し、家族のような大切な絆が形として各々の家に沢山あったのが、このダーラヘストを通して伺える。 親(大人)が、自分の子へのおもちゃとして作るダーラヘストは、「角」が無い。全体的に「角」を極力排除し、丸みを帯びた形に仕上がっており、このように安全性にも気を配り、子に対する親の想いもあることから、デジタル的なものにはない、アナログならではの温もりが感じられる。 そして今もなお、機械導入での作業ではなく、全てが手作りということから、類似していても、全く同じというものはこの世に存在することなく、その1作1作に込められた作り手の表情が、それぞれ多少の違いをもち、色味、姿に反映されているのだ。 北欧の心のこもったダーラヘストは、幸運アイテムとしても、各メディアにも取り上げられ、にわかに人気を得つつあるようだ。家族と同じくらい大切に、そして一緒に生活を共に歩んできたダーラヘスト。あなたにも、そして、あなたを大切にしてくれる周囲の人にも、日ごろの感謝の気持ちを込めた、温もりあるこの馬を贈られてみてはいかがだろうか。 (2010.3.26)