私の記憶が正しければ、日本には一年を通して、四季というのが存在していたと思う。しかし、今年は記録的な猛暑が終わりを告げ、ようやく心地よい秋風を感じられるかと思えば、とても冷たい初冬の風のようだった。数日のうちに、猛暑から初冬への切り替え・・・、一体秋は何処へ行ったのだろう。荒れ狂う世界情勢に、天候も比例しているようだ。数年後、この状態が「普通」になっていないことを、ただただ祈るだけである。 さて、以前にも少し登場した、タイトルにある言葉は、中学入試などにも頻繁に出題されることわざであることはご周知の通り。今回は、さらに掘り下げた形で、このことわざのコバナシをお届けしようと思う。 まず初めに、「天高く○○肥ゆる秋」の○○に当たる二文字は、ご存知の通り「うま=馬」であることを確認しておこう。言葉だけ見ると、秋は、一年で一番の実りの季節という異名から、このようなことわざに発展したと思われている方は多いのではないだろうか。あながち外れではないが、更に深く調べてみると、ある歴史的背景に関することがわかった。 それは、このことわざの発祥の地に関するものである。その昔、中国北西部に位置する農民達が、秋になるこの時期に、馬に乗って襲ってくる蒙古人達に対して警鐘の意味をもつ言葉として使われていたそうだ。今でこそ、日本には「スポーツ・芸術・味覚の秋」など、一年中あらゆるものが楽しめる季節として、様々な秋の代名詞があるものの、その当時の農民達は、一年で一番気を引き締めなければならない季節だったのだろう。 また、この季節には「秋の夜長」という言葉もある。季節の変わり目で、なかなか眠れない方は、いっそのこと、この秋の夜長に気になる調べごとや趣味を楽しんでみてはいかがだろう。くれぐれも、「翌日の仕事に響かない程度」にと付け加えておこう。 (2010.10.01)