モンゴルの枯渇しつつある大地の上で、遊牧民のウルゲン(主人公)は、妻インジドマー・息子フフー、牛と羊、そして愛馬である白い馬(サーラル)と暮らしていた。 以前ご紹介した「この音色、この想いがあなたの心に届きますように」の「馬頭琴」の中の人名や白い馬などが登場していることにお気付きだろうか。 その中にあった「スーホーの白い馬」の神話を思わせるような場面も幾つか感じるところがあった。 遊牧民である事を誇りに思うウルゲン。 しかし、かつての草木が豊かに茂る大草原の中で暮らす生活は、今となっては過去の良き思い出でしかない。 急激な経済成長に拍車を掛ける中国。だが、様々な問題を抱えているのも事実。 その成長とは反対に、ウルゲン達の生活はひどくなるばかりで、家族三人が暮らしていくには、もはや愛馬を手放すより仕方ない状況に陥っていく。 だが、馬を売ることだけは遊牧民の誇りにかけ、断固拒否を貫き通すウルゲン。 ひたむきで従順な妻インジドマーは夫の気持ちを十分に理解するものの、子供の学費調達など、現状のやりきれない生活に困惑し葛藤する日々を送る。 (2008.1.11)