出番と言うのは、少しずつ出始めた仔馬の脚を引き出す手伝いをすることだ。 単純に引き出せばいいというものではなく、その馬の呼吸など様子を見ながら徐々に脚を引っ張っていく。 そうして産まれた仔馬はお世辞にも客観的に見てかわいいとは言えない(苦笑)我々がいつも見ている馬とは少し印象が違うのだ。 お産が終わると、すぐさま用意していたタオルなどで仔馬の顔を拭き、呼吸できる状態にしてやる。 母馬の方は少し呼吸・身体の状態を落ち着かせると、ようやく自身の生まれてきた仔をまじまじと対面し「あなたが私の仔よ、やっと生まれてきてくれたわね。有難う」と言うようにペロペロと舐めて、わが仔誕生の最初の愛情表現=祝福をする。 同じくして仔馬も、一生懸命一心に身体を震わせ立とうとする。 こればかりは周囲は手助け無用。産まれてすぐの初めの試練なのだ。 大体30分、長くても1時間前後で立ち上がるようだ。 そして誰に教えられたわけでもなく、母馬の母乳を野生の本能でどこにあるか察知し、飲む姿はとても愛らしい。 周囲の見守ってくれている人間達に、感謝の意を込めた深い感動を与えてくれるだろう。 (2008.4.18)