知ってか知らずか、様々な想いや願い、希望を受け、日夜、その期待に応えるべく一生懸命厳しい練習に励んでいる競走馬。 「競走馬の日常」という点で捉えると、この生活スタイルはごく普通のものだろう。 日々の練習やレースでは、馬に携わる者がいくら注意を払っていても、予想外に起こる出来事がある。疲労によるものや肢体などの故障、十二分に考慮していても故障を発症することだ。 故障具合によって異なる処置手当てだが、今回ご紹介したいのは、とても日本らしい特色を活かした、馬が温泉に入る療養である。 世界広しといえども、日本は無類の温泉大国、風呂好きな国と言えるのではないだろうか。 そして、その温泉は様々な効能が期待され、医療にもその効能を期待し実際に取り入れている場所が数多くある。 その中でも、JRAがもつ「競馬総合研究所」という施設が福島県のいわき市に存在する。 ここでは、故障を発症した馬へのリハビリ・温泉療法による効果などが研究されている。 名称は「研究所」と、やや堅苦しいイメージに感じるが、コバナシでは「馬の温泉宿」とでも称するとしよう(笑) JRAによればこの温泉宿に宿泊するのは、「屈腱炎や骨折を始めとする運動器疾患のために休養を余儀なくされた競走馬」だと言う。 以前、この「屈腱炎」は、予後判定と治療、そしてリハビリを一貫に行うことは、やや困難とされてきたのだが、ここではそれが可能であると言う。 故障をしないに越したことはないのだが、このようなお宿(施設)があるだけでも、些か馬にとっても心強いのではないだろうか。 (2008.6.6)