「馬は人を見る」。いや、「見抜く」と言った方がいいだろう。 利口な動物である馬は、人間の心の中まで見抜く心眼を持っていると私は思う。その中で「馬の眼」にまつわるコバナシを今回はお届けしよう。 まず、想像して頂きたい。 皆さんは馬の眼が顔のどの辺りにあり、また、その眼にどんな印象をお持ちだろうか。 レースなどで見せる凛々しくハンサムな表情。 放牧地でのほほんと牧草を食べながら、少しトロンと虚ろ気な様子で、微笑ましい表情。実に様々な表情をもっている。 さてここで馬の眼の機能と、その特徴を挙げてみよう。 馬は350℃のパノラマで物事を見ることができ、これは自然界の中で生き抜く馬たちにとって重要な機能の一つである。その特徴として瞳孔が横に開くと言う事が挙げられる。 広範囲を観察し、敵から身を守るため背後に迫り寄せる敵にも、瞬時に察知し視覚による距離感をつかむことはこの上なく必要なことなのだ。 そして少し奇妙と言うか、滑稽なのは夜間の活動だ。 馬は夜行性の動物ではないが、夜間にも優れた視覚能力を発揮する。放牧されている土地で、辺りが真っ暗なのにも関わらず、月明かり程度の光でも走ることは苦ではないのだ。 秋の夜長、行楽・レジャーシーズンでもあるこの季節、牧場を見学する予定のある方は、夜の散歩時に、明るい時には見ることのできない、新しい馬の一面に遭遇できるかもしれない(笑)。 くれぐれも牧場や周辺に迷惑をかけたり、馬を驚かせたりしないよう、この季節を楽しんでいただきたい。 (2008.9.26)