■ 優良なマイホームがあればリバースモーゲージを活用した ■
■ 生活設計が可能になる。一日も早い制度確立を目指す ■
☆ 住宅版エコポイントの積極的な利用を ☆
景気は昨年1〜3月を底に、確実に回復傾向をたどっています。
その主な要因はいうまでもなく輸出つまり外需の拡大ですが、内需
の柱である個人消費に関連して、家電エコポイントと自動車のエコ
減税が効果を生んだのはまぎれもない事実です。
先日、100人ぐらいの規模の講演会(東京)で、エコポイントを利用してTVや家
電を買い替えた人に挙手をお願いしたら、およそ10人が手を挙げ
ました。自動車を買い替えた人はそのうち3人、それでも、かなり
の経済効果があったことの証しです。
この春からスタートした住宅版エコポイント制度は、ポイント数が
最高で30万ポイントとなっています。これでは新築住宅を建設す
る動機としてはやや力不足で、一番多い利用は住宅をリフォームに
するケースでしょう。しかも住宅版エコポイントは利用先が台所や
浴室などの水周りの工事にも使えるようになっていますから、エコ
ポイント分で、そうした部分の追加工事もできます。ぜひ積極的に
利用してもらいたいと思います。
☆ 住宅の価値を建物に置く考え方にシフトすべき ☆ 内需で経済的な波及効果が大きいのは、住宅建設だということは自明の理です。わが国の住宅建設が落ち込んだ理由は、ひとつには若
い世代の雇用問題が深刻になって、「とてもじゃないがマイホーム
なんて夢のまた夢」と考える人が多くなったことがあげられます。
また、現在は働く先があって収入もまずまずでも、「いつリストラ
されるか分からない」といった将来不安が大きいことも住宅需要を
冷え込ませる原因になっています。 しかし、私は、マイホームこそが庶民が資産形成をする上でも、
あるいは老後の生活設計を立てる上でも大変重要な役割を占めてい
ると思います。
先日発表された地価動向を見ても現在、日本の住宅地は価格が下落
傾向にあります。このニュースを前にして多くの人は「資産デフレ
が続いているからマイホームを手に入れるのは避けよう」と考える
かもしれませんが、私は逆だと思います。「むしろ土地が安くなっ
たときこそマイホーム取得のチャンス」と考えるべきではないでし
ょうか。
例えば、3000万円の物件でも土地の価格が安くなったぶん、
上モノつまり建物にお金がかけられるのです。経済効果の点でも、
土地が高いと、そのお金は地主の懐に入るだけでその他には回りま
せん。建物に十分なお金をかけられれば、そのお金は住宅関連の広
範な業界に流れます。
これからは「住宅の価値を土地に見出すのではなく、建物に置くべ
き」とのまっとうな考え方にシフトすべきです。
建設業界でも100年住宅、200年住宅という考えが広がり始め
ていますが、本来、日本の木造住宅は、しっかり作れば100年、
200年持つことはいくつもの事例で証明済みです。それを建物に
お金をかけられないから、「とりあえず」と安価な材料や工法で建
築するので、日本の住宅は新築してから30年で壊されるというの
が平均になってしまいました。資源のムダという観点からも、こう
した安易な建築は改められなければなりません。
先日、ある会合で「増価住宅」という言葉を聴きました。従来の住
宅は、まさに「減価住宅」です。新築してから10年、20年経て
ば、価値が下がっていくのが当たり前でしたが、反対に経年するに
つれて価値が上がる住宅という意味です。しかも、それは土地の値
上がりを考えないで建物の価値が上がるということです。
もちろん、そのためには1軒だけの努力ではなく、街全体の工夫も
必要でしょう。お互いに協力して街の環境や治安の面でも価値を高
めていく努力が不可欠になってきます。
☆ リバースモーゲージ拡充を民主党の新成長戦略で宣言 ☆
それに私が、若い人たちに「マイホームを諦めないで」と訴える背
景には、もうひとつの理由があります。以前この連載でも書きまし
たが、優良な住宅があれば、その住宅の将来価格を基礎に「リバース
モーゲージ」を利用して、老後の資金作りもできることになります。
「リバースモーゲージ」について詳細の説明は繰り返しになるので
避けますが、仮に60歳の人が、90歳までのリバースモーゲージ
を組むとして、30年後の自宅の価値が3000万円あれば、単純
化した計算で毎年100万円ずつの現金をうけとることが可能にな
ります。
年100万円は月8万3000円です。これだけの金額が
あれば、公的年金の給付水準が現在より低くなっても何とか老後の
生活が送れるのではないでしょうか。
民主党政権は、昨年の12月30日に発表した『新成長戦略─輝き
のある未来へ─』の中ではっきりと「リバースモーゲージの拡充・
活用促進などによる高齢者の資産の有効活用を図る」と宣言してい
ます。
バブル期のリバースモーゲージは地価の高騰を前提にした設計にな
っていましたから、地価の下落と共に立ち消えになってしまいまし
たが、これからのリバースモーゲージは、地価の高騰を前提にせず、
建物の価格に着目した設計ですから、一戸建てだけでなく、マンシ
ョンなどでも利用が可能になります。
もちろん、リバースモーゲージでは、契約期間が終了したら、その
住宅は家族に相続せずに中古市場に売りに出すわけですから、家族
の理解も必要です。リバースモーゲージ契約時に、法定相続人全員
の同意書が必要になります。
これからの自宅は、相続財産外と考え
るべきでしょう。また高品質の住宅建設を促進する業界の協力や中
古市場の整備なども不可欠ですが、私もこの制度の一日も早い確立
に向けて努力することを約束します。
衆議院議員 海江田万里
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