☆ 経済界「視点」 真の政治主導とは ☆
私は現在、民主党の政治改革推進本部の事務局長を務めています。
その仕事のひとつとして昨年末から「国会法等の一部改正案」を取りまとめ、現在、国会での審議を待っています。
今回の改正のポイントは、(1)政府特別補佐人から内閣法制局長官を削ること(2)政府参考人制度を廃止することです。
内閣法制局長官を政府特別補佐人から削る点については、当初、与党の中でも社民党が難色を示していました。その理由は、集団的自衛権などについて、政府が勝手にこれまでの憲法解釈を変更するのではないかとの懸念からです。もちろん、私たちが提案する法制局長官外しは、憲法解釈を変更することが目的ではありません。
しかし、その前に、憲法解釈というそれこそ政治が一番責任を持たなければならない決定を、選挙によって選ばれた政治家ではない一行政官に任せておくことが、おかしいと思わない感覚が不思議です。
私たちは内閣法制局を無くそうとは考えていません。総理を始め閣僚は、委員会で憲法解釈などの質問が出ることが予想されれば、事前に法制局長官から意見を聞き、その意見を斟酌して、答えを閣僚が責任を持って自分の言葉で国会答弁をすればいいのです。
政府参考人の廃止も同様です。かつての国会では、野党議員の質問に対して、「それは大事な質問ですので、政府参考人に答弁させます」ということを平然と言ってのけた閣僚がいました。
まさに大事な問題に対しては、有権者から直接選ばれた政治家が責任をもって答えなければならないのに官僚任せです。官僚主導政治の典型ではないでしょうか。
そもそも政府参考人については、今から10年前「国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律」が成立したときに、「3年以内に検討を加える」との規定が確認されています。今回の改正案はむしろ遅すぎたといえるのではないでしょうか。
また、国会には公務員の不正などをチェックする行政監視の機能もあります。公務員が国会に出てきて答弁できないのでは、その役割を果たせないのではないかとの指摘もありますが、私たちが準備した改正案では、「意見聴取会」という新しいシステムを導入し、こちらには公務員も出席して、議員の質問に誠実に答弁しなければならないことになっています。
政権交代が実現してからも、これまで国会の審議は従来と変わらず、官僚答弁が横行していました。先ず、国会の審議から官僚答弁を無くし、政治家同士の責任あるやり取りを実現させることかが国会改革の第一歩であると私は考えています。
皆さんは、どのようなご意見をお持ちでしょうか。
衆議院議員 海江田万里
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