図らずも菅内閣の閣僚となって2週間が過ぎました。冒頭、「図らずも」と書いたのは、今回の人事で、私は入閣するはずもないと考えていたからです。
民主党の代表選挙では小沢氏を推薦して、その小沢氏が菅氏に敗れましたから、暫くは党内野党暮らしが始まると思っていました。そこへ突然、菅氏からの入閣の要請で、一時的に迷いはしたものの、「挙党体制」ということと、経済財政担当は、以前からやりたい仕事だったので、引き受けました。
この2週間の内閣府での役所暮らしの中で気が付いたことがいくつかあります。
ひとつは「想定問答」の準備の周到さです。「想定問答」として有名なのは、国会の委員会の質問に対して、大臣の答弁用に準備する回答要旨で、役所の担当者が質問の前日に徹夜をして準備するわけですが、実際には、国会での質問だけでなく、雑誌の取材や、TV番組への出演の際にも準備されています。
TVの番組などは、司会者からどんな質問が飛び出すか分からないわけですから、事前の準備は残念ながらムダに終わってしまうケースがいくらもあります。政治家は自分の責任において発言するのが当たり前ですから、準備に費やす時間・労力の観点からも想定問答はなるべく少なくするように指示をしたいと考えています。
もうひとつは、各種会議に関する事前の説明の多さです。もちろん、私はまだ新米の大臣ですし、経済財政政策以外に、科学技術政策、宇宙開発と、専門外の政策についても担当になりましたから、これらの事前説明が必要なのは言うまでもありません。それでもやはり内部の勉強会が多すぎます。
加えて各種セレモニーへの出席も目白押しです。この2週間に、ウィーンで開かれたIAEA総会への出席に始まり、京都での日本アフリカ科学技術大臣会合、学術会議総会への出席と、外へ出て、挨拶を述べる機会が多々あります。
もちろん、それらへの出席は大臣としての当然の公務ですから、これを厭うものではありませんが、私の現在の最大の責務は、先行き不透明な景気に対して、しっかりとした対策を講じて、財務大臣、国家戦略担当大臣と協力して補正予算を編成することにあります。
そのためには、自分の頭でしっかりと考える時間が必要です。考える時間がなくなってしまうと、結局は役所が準備したレールに乗って、後は日常の日程をこなしていくだけになってしまい、知らず知らず「政治主導」から逸れてしまいます。
経済財政政策についての仕事が果たせたかどうかは、株価や雇用者数、GDPの成長率といった形で、数字に結果が現れますから、しっかりと数字で成果を出したいと思っています。
(2010.10.19記)
内閣府特命担当大臣 衆議院議員 海江田万里
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