☆ 夕刊フジ「永田町新潮流」 改めた甘い景気判断 ☆
★ 取り組む体制ようやく出来上がる ★
早いもので国務大臣に就任してから一ヶ月半が経過した。就任して真っ先に手掛けた仕事は『円高・デフレ対応の緊急総合経済対策』を策定したことと、月例経済報告の景気認識を「足踏み状態」と下方修正したことだ。
経済対策については、菅総理から取りまとめの指示があったのが9月28日。以後、与党内の調整や野党の意見も一部取り入れて、景気対策がまとまったのが10月8日、総理指示から10日で仕上げたのは、最近の経済対策の中では最速とのことである。
経済対策が固まってから、補正予算を作り上げるまでには、財務省がどう頑張っても約3週間はかかる。これは予算を国会に提出する際に、予算書を揃えて出さなければならない為、その編集、印刷に時間がかかるからだ。国会での補正予算の審議はすでにスタートしているので、野党の「ツー・レイト(遅すぎる)」との批判はあたらないと思う。
総理の追加経済対策策定、補正予算編成の決断が遅かったと言われるのも最もだが、それまでだが、民主党の代表選挙があり、その後の党の新役員決定、内閣改造と、9月下旬まで政策課題に取り組むことができなかった事情がある。
もうひとつ、政府の景気認識が9月までは甘かったということだ。9月10日に政府が発表した月例経済報告によれば「景気は引き続き持ち直している」との判断であった。
当たり前のことだが、「景気は持ち直している」のであれば、緊急経済対策などは不要で、そのままもう少し様子見を決め込んでいればいいことになってしまう。
私は、これまでに経済の各種指標を読み込み、また中小企業零細企業の実態なども見聞きして、政府の景気判断を下方修正しなければいけないと考えていた。だから、経済財政担当大臣就任直後の記者会見でも「踊り場」との表現を使って、私なりの考えを発信した。
これには財務省からの反発もあったが、結局10月の月例経済報告で「景気は足踏み状態になっている。また失業率が高水準にあるなど厳しい状況にある」との表現にして、政府の経済の基調判断を改めた。
これで政府を挙げて景気対策に取り組む体制は出来上がった。一日も早い予算の成立を期待している。
(2010.11.03記)
内閣府特命担当大臣 衆議院議員 海江田万里
|