★経済産業大臣退任にあたって★
本年1月14日、経済財政担当国務大臣から経済産業大臣に就任し、約8ヶ月間、東日本大震災や原子力発電所事故などへの対応に最前線で当たって参りました。
大臣就任中は、皆様には大変お世話になりました。心から感謝申し上げます。
振り返りますと、就任早々、ダボス会議(スイス)に出席し、そこで各国閣僚と世界経済について会談を重ね、その後も、オーストラリアに飛び、経済連携に向けての意見交換や情報収集など、職務に取り組んできました。
FTAAP・EPA閣僚会合など、海外の国々との経済連携への道筋をつけるべく協議を続けていた最中、生涯忘れることもできない「3.11東日本大震災」に直面しました。広範囲に及ぶ甚大な被害に重ね、東京電力福島第一原子力発電所で事故が起き、帰宅もままならず、官邸、大臣室に寝泊まりし、現地視察も含め44日間連続で統合本部に詰めるなど、担当大臣として厳しい対応に追われました。
事故対応に追われる一方で、原発事故収束に向けた目標とスケジュールの公表、原子力事故賠償問題と電力需給安定・原発再稼働問題への対処なども進め、本当に苦労しましたが、浜岡原発の停止や原子力損害賠償支援機構法、再生エネルギー法と結果を出すことができました。
その間も、もちろん国会は開会しており、本会議、各委員会での質問答弁にも立っておりました。原発事故の担当大臣として、国会での総発言回数は、1913回(H23.8.31現在)と国会答弁の中でも記録的な数字となりました。
5月中旬からは、中国、韓国の閣僚との会談を皮切りに、対外経済外交を再開し、ASEAN、東アジア経済大臣会議などに出席しました。中国政府とのレアアースの扱いに関しての会談では一定の成果を挙げたと自負しています。
また、今回の原発事故を踏まえ、原子力安全・保安院の経産省からの切り離し、我が国の今後のエネルギー政策のあり方を検討し、見直しにも着手しました。国民の原子力への不安が募る中、電力需給を安定化させ、日本経済の立て直しを図ることは極めて難解です。
大臣在任期間、私なりに「やり切った」との充実感もありますが、原発事故発災当初から今日に至るまでの対応の中で、放射性物質の大気中への飛散等、被災者の皆さんへの申し訳ない気持ちと、いま尚、住み慣れたご自宅に帰れない方々が多数いらっしゃることなど内心忸怩たる想いがあることも事実です。
その上で、修羅場をくぐった私でしか分からないことを胸に刻み、私ができることをしっかり今後も実行したいと思います。
結びになりますが、今の日本経済は、震災に加え、円高や産業の空洞化など、なお、危機的な状況が続きます。被災地を支え、一日も早い復興のため、日本が活力を取り戻せるよう、全力で頑張り抜くことをお誓いし、退任のあいさつに代えさせていただきます。有難うございました。
衆議院議員 海江田万里
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