★経済界「視点」インド経済と日本★
「ユーロ危機はヨーロッパだけでなく地球規模の問題だ。」メキシコ
で開かれたG20会合でバローゾ欧州委員会委員長が、このように叫
んだと伝えられています。ギリシャからスペインに飛び火した欧州危
機は、日本、アジア諸国、アメリカを巻き込んだ経済危機に発展する
可能性を秘めています。
アジアでは、中国経済がすでに一時の勢いを失っていることは多くの
人の知る所ですが、私が注目しているのは、インド経済の成長に急ブ
レーキがかかっていることです。
5月31日にインド政府が発表した今年1−3月の実質GDP成長率
は5・3%に低下しました。インド経済は2010年に通年で
8・5%の成長を誇ったのが2011年に入って1−3月が7・8%、
4−6月が7・7%、7−9月が6・9%、10−12月が6・1%
と成長率がつるべ落としです。2012年1−3月期の中国の成長率
が8・1%(先日発表された4〜6月期は7.6%)と比較して、そ
の急ブレーキぶりがよく解ると思います。
今年の秋に党大会を開催し、
指導部が入れ替わる中国では政治的な安定を維持するため成長を継続
させる必要があり、6月8日に人民銀行が、貸出基準金利、預金基準
金利(それぞれ1年物)を0・25%引き下げました。
インドは、4月の段階で、準備銀行が金利を0・5%引き下げた後の
追加利下げはできずに、むしろ次は利上げだろうとの観測が一般的です。
なぜインドの利下げが不可能なのかといえば、国内の物価が引き続き
上昇しているからです。
インドの通貨ルピーは、今年に入り下落が続いています。インドは原
油などの資源国ではありませんから、ルピーが安くなると貿易赤字、
経常赤字が拡大し、それが国内の物価にも影響して、インドのインフ
レ率は7%を超えています。
インド経済は、景気後退下の物価上昇つまりスタグフレーションの危
機が迫っています。この状況を脱するには、インド政府自身の体制改
革が不可欠です。中央や地方の役人や政治家の相変わらずの汚職、
中央の言うことを聞かない地方の問題、複雑な宗教問題などはインド
自身が解決しなければならない課題です。
日本はインドに対して2003年以降、ODA最大のドナー国になっ
ており、昨年末の日印首脳会談でも、デリー─ムンバイ間の鉄道貨物
線のインフラ整備に45億ドルの円借款を与える約束をしています。
また、JBIC(国際協力銀行)を活用した海外インフラ整備のため
のファイナンスメカニズムを積極的に進める必要もあると思います。
インド経済の急ブレーキは日本経済の減速につながる時代になってい
ます。私たちは、これまで以上にインドの政治、経済の動きに敏感に
なるべきでしょう。
衆議院議員 海江田万里
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